【写真】机の上に本やカメラと一緒に並べられたSALASUSUのバッグ

大きなバッグを背に自転車にまたがり、振り返って笑顔を向ける女性。緑に囲まれ、風を切りながら、どんなすてきな場所をめざすのでしょう。シンプルなデザインと落ち着いた色合いのバッグが、ゆったりと流れる時間の中で心が静かに満たされていく、そんな旅を演出しているような気がします。

【写真】SALASUSUのカバンを斜めがけして自転車にまたがる女性

実はこのバッグ、以前soarで紹介したカンボジア発のファッションブランド「SUSU」が生まれ変わった姿なのです。その名も「SALASUSU」。カンボジア語で「がんばって」を意味する「SUSU」に、「学校」を意味する「SALA」が加わりました。

制作しているのは、貧困などの困難に負けず、社会へ飛び立つ準備をしているカンボジアの農村の女性たちです。彼女たちはものづくりを通してどのようなことを学び、私たちはSALASUSUを手に取ることで何を感じることができるのでしょうか。海の向こうから届いた新しいプロダクトの魅力を、その背景にある温かいストーリーとともに紹介します。

カンボジアの農村で生まれるライフスタイルブランド

SALASUSUは、2018年3月に誕生したカンボジア発のライフスタイルブランドです。

ラインナップはバッグやポーチ、ストールなど。ホワイト、ネイビー、カーキといったベーシックな色使いとシンプルなデザインで、使う人や時間、場所を選びません。

【写真】バッグを肩にかけ、屋外で石畳に座る女性

特に豊富なのはバッグの種類。ちょっとしたお出かけ向きのクラッチバッグ、宿泊旅行に便利な大容量のバッグ、カンボジア名産のいぐさを織り込んだ小さな畳のようなデザインがあしらわれているおしゃれなトートバッグがあります。

【写真】椅子に座り机でメモをとる女性。椅子にはバッグがかけられている

その一つひとつは、中心市街地から車で約40分の距離にある農村の工房で、近隣に住む女性たちが手作りで生み出しています。

彼女たちの多くは、家庭が経済的に恵まれていなかったり、幼いころに十分な教育を受けることができなかったりなど、何らかの困難を抱えています。SALASUSUがあることでこうした女性たちが働く機会が生まれ、商品の売り上げは女性たちの生活を支える給料になるのです。

【写真】SALASUSUが作られる工房は豊かな緑に囲まれている

SALASUSUが作られている工房

女性の自立を応援するためにーーSALASUSU誕生の経緯

前身のSUSUを立ち上げたのは、認定NPO法人かものはしプロジェクトです。2002年に、貧困家庭の幼い子どもたちが強制的に売られてしまう問題を解決するため、3人の日本人大学生たちによって始まりました。カンボジアやインドを拠点に、子どもたちの見守りや女性の自立支援などさまざまな活動に取り組んでいます。

かものはしプロジェクトの活動、国の法律や経済の改善などにより、カンボジアで人身売買の被害に遭う子どもの数は大きく減りました。

そこで、次に取り組むべき課題として見えてきたのが「女性の自立」。若くして家庭を支える立場になる女性たちが安心して就労を継続し、安定した収入を得ることができれば、女性もその子どもたちもより明るい将来への道を歩むことができます。

【写真】工房内で子どもを抱っこしながら微笑む女性

SUSUの作り手である女性たちは、品質の良いプロダクトの生産・販売に関わりながら、自分を律してがんばること、人と協力すること、自信を持つことの大切さを学び、社会に羽ばたいていくのです。

こうした女性の自立支援にさらに注力するため、SUSUを展開していたカンボジア事業部は、SALASUSUとしてかものはしプロジェクトから独立しました。かものはしプロジェクトを立ち上げた一人の青木健太さんは現在、SALASUSUの代表として女性たちを応援しています。

【写真】スタッフの女性たちと談笑する代表のあおきけんたさん

スタッフたちと話すSALASUSU代表の青木健太さん(左から3人目)

コンセプトは「LIFE JOURNEY(人生の旅)」

SALASUSUには、SUSUから生まれ変わる際に加わったある大切なブランドコンセプトがあります。

それは、「作り手と買い手の『LIFE JOURNEY(人生の旅)』が商品を介して交錯する瞬間をもっと豊かにしたい」ということ。商品をきっかけに作り手と買い手が出会い、お互いの顔を見て「Susu!」と声をかけ合うような温かい関係が生まれることを目指しているのです。

【写真】かばんのタグにスタンプを押す手

SALASUSUではデザインや品質をグレードアップし、より作り手の息吹が感じられる工夫を施しました。写真のように、プロダクトについているタグには、それを作った人の名前が記載されたスタンプが押されています。

さらに特徴的なのは、プロダクトを買うと、SALASUSUの工房の見学ができるチケットがついてくること。使用期限はなく、そのチケットがあれば無料で訪れることができます。現地日本人スタッフのガイドのもと、作り手の女性たちに実際に会いに行くことができるのです。

【写真】工房を見学できるオリジナルチケット

工房を見学できるオリジナルチケット

カンボジアを旅してきたおみやげというよりも、カンボジアへの旅のきっかけとなるSALASUSUは、現地にさきがけて日本での販売がスタートしました。通常はオンラインショップで購入することができるほか、国内の百貨店などに設けられる期間限定ショップでも買うことができます。

【写真】ミシンで一つ一つ手作りで作られるSALASUSUのプロダクト

ものづくりを通して前進していく女性たち

SALASUSUの誕生には、ミシンの使い方から一つずつ手順を学んでいった女性たちの努力が不可欠でした。発売が始まる日の3週間前に工房から届いた商品は売れるクオリティーのものではなく、全て作り直しにしたことも。しかし、より高い目標をあえて目指したことで、女性たちは仕事への達成感や誇り、自信を培い、内面的に大きく成長することができたといいます。

【写真】布を裁断する女性

安心して働き続けることができるように、工房内に託児所を設置するなど、女性たちを応援するさまざまなサポートも整っているのです。

【写真】子どもを抱っこして微笑む二人の女性

では、手に届くプロダクトの向こうに、私たちはどのような人生の旅を知ることができるのでしょうか。SALASUSUのホームページの中から、その一部をご紹介します。

スレイパーさん:家計が厳しく家の手伝いをしなければならなかったので、小学校を中退せざるを得ませんでした。

工房に入ってからは、人生を諦めないこと、自分自身の尊厳を大切にすることを学びました。「ありがとう」「また来てね」という簡単な日本語・英語しか話せませんでしたが、お客さまと触れ合う時間は大好きな時間。自分が作った商品を目の前で手に取ってくださる姿を見ると、やりがいを感じました。

今はシェフになるという夢のため、日本食レストランで働いています。

【写真】打ち合わせ中ににこやかに手をあげる女性スタッフ

工房は2018年に設立10周年を迎え、7月にはカンボジアで記念のパーティーが開かれました。

かものはしプロジェクトの頃から続いてきた取り組みは、SALASUSUという新しいブランドの誕生として確かに成果を残し、たくさんの女性たちとともに再出発を切ったのです。

【写真】工房の前での集合写真

作り手に会う旅を、あなたも

私は1年前に買ったSUSUのクラッチバックを、今でも大切に使っています。

こうして心を込めて書いた文章を誰かに読んでもらえること。感想が来たらうれしくなって、次もがんばろうと思えること。仕事は違っても同じ気持ちでがんばっている女性たちが海の向こうにいるのだと思うと、「買ったよ」「使っているよ」ということを伝えたくなりました。

意外だったのは、新しくなったSALASUSUがカンボジアより先に日本で販売されていたという話.。「カンボジアのお土産」という枠を越える魅力、作り手と買い手がつながるストーリー性へのこだわりが強く感じられたエピソードでした。

いずれは世界中へ旅の切符をわたすことができるように、まず日本でどれだけ多くの人にブランドを知ってもらえるか、それが今後の一番の課題だといいます。

届いたチケットを手に、バッグを掲げて作ってくれた人に会いに行く。人と人の優しさがつながるかけがえのない旅を、あなたも体験してみませんか。

【写真】カバンを肩にかけたたずむ女性

関連情報:
SALASUSU
公式ホームページ
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期間限定ショップの情報はこちら
・9月17日(月)〜10月2日(火):日本橋三越 4階
・9月19日(水)〜10月9日(火):阪急うめだ本店 10階 スーク Love&sense内
・10月17日(水)〜10月30日(火):新宿高島屋 5階