【写真】ミークスウェブサイトのトップページ。ここから支援団体にアクセスすることができる。
たとえば、今自分が中学生だとして、もしクラスでいじめにあっていたら。そして、もし残念ながら身近に相談できるおとなや友だちがいなかったら、あなたならどうしますか?

私なら、きっとネットに頼ります。

では、ネットで検索してみるとどうなるでしょう。例えば、「いじめ もういや」で検索してみると、上位に表示されるのは、「yahoo!知恵袋」や、匿名掲示板の書き込みばかり。「いじめ どうしたらいい」も似たような結果です。

いじめはそうした匿名のやりとりではなく、子どもに応じたリアルベースでの個別の支援が必要なはずです。でも、そうした支援はリアルの場を中心に展開されることが多く、連れ出してくれる大人がいないと、子どもたち自身では適切な支援に行き着くことが難しいのが現状です。

そんな子どもたちを支援団体とつなぐサービスが生まれました。NPO法人3keysが、10代の人には言えない困りごとを手助けするためのWebサイト「Mex(ミークス)」をオープンしました。

全ての子どもたちが自立できる社会を目指す「3keys」

3keysは、日本に生まれ育った全ての子どもたちが、環境によらず自立していける社会を目指すNPO法人です。現在は、学習ボランティアの派遣・補習教室の運営を行う学習支援事業prêle(プレール)や、なやみ相談窓口などを行う子どもの権利保障推進事業vine(ヴァイン)などを手がけています。

今の日本では、地域や親族とのつながりが希薄になり、親の経済状況や社会とのつながりによっては、子どもに適切な社会資源を提供できない場合も増えてきました。また、虐待相談件数も年々増加し、児童養護施設や里親といった「社会的養護」のもとで暮らす子どもも少なくありません。

そこで3keysは、子どもを取り巻く現状を社会に伝え、親や行政以外のセーフティネットとして、子どもたちを見守り、導き、そして伸ばしていく大人たちを増やすことを目的として活動しています。

子ども目線で支援団体に辿り着けるサイト「Mex」

【写真】街中で笑顔でこちらを見つめるもりやまさん

3keysの代表を務めるのは、以前soarでもインタビュー記事を書かせていただいた、森山誉恵さん。誉恵さんは、3keysでの学習支援活動や、現場についての情報発信を通じて、気づいたことがあるといいます。

非営利のサービスはリアルベースが多いんですが、そうなるとそこに連れ出してくれる大人がまわりにいないと支援団体に結びつかない。頼れる大人がいなくて、一番手を差し伸べなきゃいけない子どもたちほど、今たどり着く術がないんです。

そこで生まれたのが「Mex」です。Mexは、子どもたちが人には言えない「困ったかも」に出会ったとき、安心して相談できる支援団体に、いちはやく辿り着けるようにと生まれたサイトです。

登録された団体はカテゴリ別・地域別に整理され、子どもたち自身が、自分の手で必要な支援に辿り着けるような設計になっています。

カテゴリ別・地域別に支援団体を探せる

【写真】ミークスウェブサイトのカテゴリページ。支援団体に6つのカテゴリーからアクセスすることができる。

実際に、Mexのサイトを見てみましょう。

Mexでは現在東京版がリリースされており、「家族・学校」、「学習・就労」、「生活・食事」、「犯罪被害」、「からだ・こころ」、「その他」の6つのカテゴリ、あるいは地域別に支援団体を探すことができます。サイトに登録されている団体は、3keysの目を通じて、信頼できるかどうか選考されたもののみ。彼らが安心して利用することができます。

カテゴリ内では団体を一覧で確認でき、どんな問題を扱っているのか、利用法は電話なのか、メールなのか、対象は誰なのか、といった情報を一目で把握することができます。

登録された団体は、電話で専門的な内容を相談できるところから、実際に訪れて自由に過ごせるところまで、さまざまです。子どもたち自身も、「ゆるい雰囲気の方がうれしい」とか、「しっかり相談に乗ってほしい」とか、いろいろな好みがあるはず。このようにいろいろな団体が登録されていると、安心できますよね。

社会全体で支えあう未来を目指して

困っている子どもがたどり着くネットの世界。そこは、見渡すと「簡単に稼げるよ」、「泊まれるところがあるよ」といった犯罪や事件に繋がりかねない情報が溢れ、子どもたちは、簡単に大人への不信感を抱いてしまいます。でも、子どもたちのことを本気で助けたいと考え活動している団体だって、本当はたくさんあります。

誉恵さんは、Mexを通じて子どもたちに「ちゃんと助けてくれるところもあるんだよ」と伝えたいと言います。

Mexははじまったばかり。子どもたちの意見を拾いながら、子どもたち目線での工夫や改善を続けたいと思っています。サイトには意見箱もあるので、ぜひもっとこういう相談機関が欲しいとか、こういう機能があると使いやすいなど、子どもたちの意見も気軽に伝えてもらえたらなと思っています!

みなさんも、もし困っている子どもがいて、でも支援先の判断がつかない。そんなときは、ぜひMex(ミークス)を利用してみてはいかがでしょうか。

関連情報:

Mex」  ホームページ

NPO法人3keys ホームページ

森山誉恵さん インタビュー記事